たった一人の甘々王子さま


「男勝りとか言葉使いだとか......全部ひっくるめて可愛らしいよ。全部、俺の好きな優樹さんだよ。」


相楽の優しい言葉が優樹の心に響く。
しかし、素直に受け止めることができない優樹は


「そんなの嘘だ!自分なんか全然女じゃない!貴方だって、こんな自分のこと女だって思ってないはずだ!!」


瞳に涙を浮かべて相楽に食って掛かる。
全く可愛らしくない言い方をしてしまう。
優樹は相楽を睨み続ける。


「貴女はちゃんと女の子だよ。と、言っても信用してくれないかな?冷たくなった優樹さんの心を溶かし温めるのは時間がかかりそうだね........」


相楽はフッと笑みを浮かべ優樹の顔に近づいていく。


優樹は慌てて顔を背ける。
動きを止めた相楽は、掴んでいた優樹の手を離し、代わりに両頬を包み込んむ。
すかさず優樹も相楽の手首を掴むが両頬を包んだ彼の手を退かすことが出来ない。


諦めの悪い優樹の抵抗する力が弱まると、相楽は優樹の顔を自分の方へ向かせる。
男の大きな手で頬を包み込まれた優樹の顔は今までにないくらい赤い。


相楽は優樹の顔に寄せると動きを止める。
暫し見つめ合う二人。


『もう逃げられない』
と、思った優樹の左目から一筋の涙がこぼれる。


その涙を指で拭った相楽は優しく優樹に語りかける――――――

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