たった一人の甘々王子さま
13 クリスマスのプロポーズ
昼間の騒動から数時間後。
浩司の仕事が終わって、浩司の予約した部屋に移動した。
エリーの利用していた部屋とあまり変わらない大きさで優樹は驚いた。各部屋を覗きながら感動している。
「やっぱり、エリーの部屋と違うね!すごーい!」
「優樹、もっと広い部屋だってあるんだから.........ハネムーンの時は奮発しようか?」
突然の浩司の言葉に、優樹は頬を赤くして動きが止まった。
更に、タイミングがよいのか悪いのか覗いた部屋はメインのベッドルームだった。
「さ、優樹、入って。」
浩司は優樹の腰を抱いてベッドルームへ入っていく。
窓際まで歩いていくと、街の灯りがとても綺麗だった。
「うわっ!やっぱり綺麗だね。」
窓に張り付くように夜景にうっとりしている優樹。
喜ぶ優樹に、浩司は後ろから抱き締める。
「ほんとに綺麗だね。」
しばらく見つめていると、浩司は優樹の横に立ち
「優樹、こっち見てくれる?」
と、優樹の肩に手を置いて自分の方に身体を向けた。
「優樹、今日は本当にごめんな。いつも優樹に辛い思いをさせてすまない。」
優樹の肩に手を置いたまま話す浩司は頭を下げた。
「浩司.......顔、あげて?浩司の顔が見れないよ?」
優樹はそっと浩司の頬に手を添えて自分の方へと顔を持ち上げる。
泣きそうな浩司の顔にチュッと唇を合わせて優樹は微笑む。
「大好きな浩司が助けてくれたから、これくらいの傷で済んだんだよ?若いからすぐ治るよ。.........申し訳ないって思うならさ、これからは浩司が自分の傍で守り続けてよ。ね?」
『わかった?』なんて言いながら、また浩司の唇にキスを落とす優樹に
「優樹、もちろんだよ。だからこそ、次のステップに進みたいんだ。」
浩司も優樹に甘いキスをする。
唇を挟むように浩司がキスをすると優樹もそれに応える。
お互いに『離れたくない』って思いが強くなって、段々と深いキスになっていく。
我慢できない思いが溢れて浩司の舌が優樹の口内へ潜り込むと、優樹も『もっと、もっと』と頬に沿わせた手を浩司の首に巻き付けて離さない。
リップ音が響いて、二人の唇が離れた。
暫し、見つめ合う二人。
「優樹、ちょっと待っててくれる?」
「ん。」
優樹から離れた浩司は隣の部屋へ行ってしまった。
ちょっとだけ寂しく思ったが、浩司が戻るまで優樹は窓の外を見てきれいな夜景を堪能する。
部屋が暗いからか、とても綺麗。
「優樹...」
戻ってきた浩司が呼び掛けた。
優樹が振り向くと、もうすぐ傍まで歩いてきて、そっと優樹の左手をとった。
「優樹、さっきの続き、してもいいかな?」
「う、うん。」
『もしかして、エリーの部屋での事だよね?浩司は、まさかの..........』
優樹がドキドキしながら浩司の次の言葉を待つ。
「俺は、こっちへ来てから社長である優樹のお父さんから引き受けた仕事を成功させようと取り組んできた。優樹までトラブルに巻き込んでしまったのは申し訳ないと思ってる。」
「うん。怪我は大丈夫だよ。」
優樹は自分の頬を指差して答えた。
大きめの絆創膏が痛々しい。
浩司の顔は笑顔がなく悔しそうだ。頬の怪我が治るまで辛いかもしれない。
さらに、浩司は続けて
「実はね、今まで優樹に色々迫ってはいたけれど.......本当のところ、今回の取引が成功するまで許可が貰えなかったんだよ。」
「え?なんの許可について?」
浩司は1つ息を吐いて気合いを入れた。