たった一人の甘々王子さま
どれくらい寝ていただろうか。
今の時間は午前10時。
浩司はゆっくりと起き上がった。
隣で眠っているのは、愛する人・優樹だ。
横向きで寝ているので、可愛い膨らみに視線がいく。
浩司はいつかの朝を思い出す。
頬をそっと撫でると、肩を竦めて身を小さくする優樹。
シーツの擦れる音が静かな部屋に響く。
優樹の左手の薬指には昨夜嵌めた指輪がキラリと存在をアピールしている。
頬が緩んで口角が上がる。
数時間前まで愛し合ったのに、また触れたいと思う。
いや、思うだけではなく行動に移す。
優樹の頬にかかる髪を退けてキスをする。
一度触れたら、もう止まらない。
呼吸で上下する肩をそっと押して仰向けにする。
そのまま右側に顔を向けて、まだ寝続ける優樹。余程疲れたのだろう。起きる気配はない。
左側の首筋が肩にかけて露になった。
指が触れて、すぐに浩司の唇が沿わされる。
「ンッ........」
優樹の唇から煽る声が聞こえると浩司のそれで塞がれた。
息が出来なくて目が覚めた優樹は浩司の身体を叩くのだが、離すわけもなく.........
抗議の声をあげようとすれば、その隙間を逃さないように舌を入れられて、絡められて、吸い上げられる。
浩司の身体を叩いて抵抗していた優樹の手は、いつの間にか浩司の首に.........
ふとベッドサイドの時計に目をやる。
と、同時に甘い時間に似あわない音が聞こえた。
『ぐ~きゅるる――――』
浩司は優樹を見下ろす。
気持ち良さそうな艶っぽい優樹の顔は、音と共に目が点になり
「み、見るなっ!聞くなっ!」
叫んで、枕を引き寄せて、顔を隠した。
時間は11時半を過ぎていた。
「ごめん、優樹.........お腹すいたよね?」
「.........空いてない――――」
『グルキュ―――』
浩司の声に反発しても、お腹の虫は正直だった。
「優樹......シャワー浴びて、ご飯食べに行こう。ほら、起きて。泣かないの。」
「フン......泣いてないもん......ズズッ......」
「はいはい。優樹は泣いてません。ほら、いくよ?」
拗ねた優樹を抱き起こして、そのままお姫様抱っこ。
優樹は浩司の首筋に顔を埋める。
そんな恥ずかしがる優樹も可愛くて浩司は頬を緩ませながらシャワールームに連れて行った。