たった一人の甘々王子さま
「はい、おしまい」
「え~ママ、もう一回絵本読んでよ!」
「うん、今度はこれ読んでほしい!」
「今日はもうおしまい。また明日ね。パパが帰ってくる前に寝ないと明日のお出掛けなくなっちゃうよ?」
「え?それはイヤだ!」
「もうねるね!おやすみなさい」
「はい、おやすみ。いい夢を見てね」
小さな二人の天使におやすみのキスをする。暫く見つめていると寝息をたてて夢の中へ。
部屋の電気を消して、ドアを閉める。
廊下に出たところで、玄関の鍵が開いた。
「ただいま~」
「おかえり、浩司」
「ん、優樹もお疲れ様」
「チビ達は?」
「今、寝かせたところ。顔、見てく?」
「いや、いいよ。また起き出したら困るし。こんなことも出来なくなるしね」
チュッと触れるだけのキスを落とす。
「晩御飯先に食べる?それかお風呂?」
「んーその選択肢に優樹って入ってるの?」
ジャケットを脱ぎながら廊下を歩くとそっと優樹が受け取って寝室のクローゼットへしまう。
「バッ......バッカじゃないの?あるわけないじゃん!」
「ずーっと傍に居るって言ってたよね?あの約束は?」
「子供たちが寝たばっかりだからダメ!」
「あいつらが生まれてから優樹が冷たくなった......」
「そんなことないしッ!」
「そんなことあるしッ!」
ネクタイを外しながらジリジリ詰めよって甘える浩司。
「じゃあ、証拠見せてよ。俺だけ愛してるって」
「ちょっとだけだよ.........」
結婚後も甘く優しい王子さまに包まれているお姫様・優樹のお話でした。