たった一人の甘々王子さま


「プッ!」


浩司が吹き出す。
頬を赤くした優樹の頭をポンポンする。


「ゴメンゴメン。優樹には刺激が強かったかな?って言うか、優樹はバスケ部でしょ?男子の裸くらい見馴れてるでしょ?」


「......み......見てないよぅ..........。」


力なく話す優樹が浩司にとって堪らなく愛しく感じた。


今までの態度は何処にいったんだろう。
自分の目の前で男の裸を見て恥ずかしがる優樹が、少しずつ男らしさの鎧を脱ぎ捨てているのを感じる。


一緒に生活を始めてまだ10日余り。
思ったよりも優樹の心は溶け始めているのかもしれない。


浩司の口元が緩む。


「わかった。服を着るから優樹は先にリビングへ行っていて。ね?」


「うん........。」


優樹はそう言うとゆっくり歩き出す。
リビングへと続くドアを開けたところで浩司も自分の部屋へ入る。


―――――――――――――――――――


「あの反応、可愛すぎだろ?!」


思わず声に出してしまう。
どれだけ男に免疫がないんだ。
今までよく虚勢を張っていられたものだ。
全ての鎧が外れると、どれ程の素直な優樹が出てくるんだ?
おもいっきり無垢な子じゃないか。


『もう、他の男の前に連れ出せない。』


「恋愛、出来るか........? ゆっくり進んでいかないと、なんだか優樹がパンクしそうだな........」


浩司は部屋の椅子に腰掛け項垂れる。


鎧が外される度に、あの可愛らしい反応をされると理性が持つのだろうか..........
優樹に触れたい気持ちが募るのに、まだ触れられない。
長期戦になると辛いな..........



「そろそろ、次の休みはデートしてみますか―――」

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