たった一人の甘々王子さま
「さっきのキスは?どうだった?」
浩司が優しく問いかけると
「..........どうって.....わかんないよ.....」
頬を赤らめて答える。
浩司は優樹から離れる。
頬に当てた手も放す。
ベッドサイドに立て膝をつきそっと優樹の手を取る。
「俺は、優樹が好き。正直、抱きたい。だけど、優樹が初めてなのは知ってる。俺と出会うまで男が苦手だったのも知ってる。
だから、無理はさせたくない。俺は、我慢出来るよ。」
優樹と見つめあって浩司は自分の気持ちを語る。
「優樹が俺との関係を進めても良いっていうまで................待つよ。」
「浩司ッ――――!」
優樹が抱きつく。
浩司の言葉が嬉しかった。
浩司は優樹を受け止めるが、バランスを崩し床に尻餅をつく。
「自分も、浩司が好き。傍にいたいし、触れていたいって思う。だから―――――」
優樹は更に浩司を抱き締める。
が、恥ずかしくてそれ以上言葉が出てこない。
そんな優樹が可愛くて浩司は答えを急かす。
「だから? 優樹、何? 教えて?」
浩司が問うと、優樹は答えに詰まる。
「えっと........だから........」
「うん。」
浩司が優樹の身体を離して距離をとる。
そっと自身の指を優樹の唇に持っていく。
「優樹、教えて?」
優樹はゴクリと喉をならして
「..........ずっと、傍にいて――わっ!」
いい終えた優樹を浩司が自分の胸に引き寄せる。
やっと、優樹と思いが通じあったのだ。
ゆっくりとベッドに運ばれて優しく浩司に抱き締められる。
もうそれだけで幸せな気持ちになれる。
浩司の体温が心地よい。
優樹は、シーツを握りしめながら与えられる熱を受け止める。
「優樹.........大好きだよ」
浩司の声も甘くて心地よい。
「浩司......」
優樹の声も浩司には心地よい。
「大好きだよ......」
はじめて結ばれた夜、幸せに包まれながら二人で眠りにつくのだった。