たった一人の甘々王子さま
5 二人のヤキモチ


浩司に抱かれた夜、疲れていたのかあっという間に眠りについた。
まぁ、バスケの試合の日も疲れているからすぐ眠れるんだけど..........



目が覚めたときはもう日が高い位置に。もうお昼かと思ったくらい。でも、身体が怠いからまだ横になっていたいな。


『今、何時?....なんか飲みたい........』


少し頭が働くようになって、自分が背中から抱き締められているのがわかった。


浩司の胸に自分の背中が張り付いていて、呼吸で胸が動いているのがわかる。


腰に巻かれている腕にそっと手を重ねると
その左腕が上に移動して胸の膨らみに触れた。


「え?浩司、起きてるの?」


クルリと反転させて見上げると、男の色気で艶のある優しい顔があった。


「........おはよう、優樹。 寝れた?」


浩司の掠れ気味の声が優樹の耳に届いてキュンとする。


「うん。寝れたけど........」


「けど?」


「......なんかね、怠いかな。あと、のど乾いたから、なにか飲みたい」


優樹がそう言うと、浩司の方が頬を赤くした。


「そっか、ごめんな。優樹ばかりに無理させたね。 今度はもう少し優しく抱くように気を付ける。」


―――チュッ


と、優樹に軽いキスをしてベッドから出ていこうとする。


「やだ......何処、行くの?」


すぐに起き上がれない優樹が浩司の背中に問いかける。


バスローブを身に纏いながら振り向き、


「ミネラルウォーターを持ってくるから待ってて。」


「一緒にそっち行く。」


優樹は手をついて気だるい身体を起き上がらせると、肩からシーツが滑り落ちた。
何も身に付けていない優樹の肌が露になる。


「........優樹、朝から俺を煽ってどうしたいの........」


「え?そんなつもりはないよ?」


優樹は首をかしげる。
浩司は右手で自分の目元を覆う。


「優樹、今の自分の姿を良く見て........」


「え?」


そーっと視線を下ろすと、横座りした自分の腰までシーツがはだけて上半身が丸見えだ。
ちょっと前屈みなので、腕で胸の膨らみを軽く寄せた感じで小さな谷間ができていた。


「うわぁッ!!見ちゃダメっ!!」


腰元のシーツを引き上げて、頭まで被って叫ぶ。



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