たった一人の甘々王子さま
『恥ずかしい!恥ずかしい!恥ずかしい!―――――』
優樹の心の声が丸わかり。
「もう、ここで待ってる!」
シーツにくるまり身を縮こませて言う。
そんな優樹を見て、浩司は笑いを堪える。
昨夜、優樹の身体をたくさん愛して、たくさん眺めたと言うのに..........何を照れているんだか。
「もう全て見たんだから、隠しても無駄。
今更だよ。」
浩司はシーツにくるまった優樹に語りかけて部屋を出ていった。
浩司は冷蔵庫にあるペットボトルの水を取り出し、優樹の元へ戻ろうとした時、ふと、優樹と出会った頃のことを思い出す。
優樹と初めて逢ったのは浩司が10歳の時。
あのときの優樹は、4歳。
2度目が4年前............優樹が高校生の頃。
「記憶については、慌てず、ゆっくりだ。」
そう、優樹のことを一番に考えて。
備え付けの棚に腰を掛け、ミネラルウォーターを飲む。
やっと、浩司の渇いた喉に潤いが戻った。
然り気無く、壁にある鏡を覗いた。
右の鎖骨のしたに小さな赤いアザがあった。
「コレは、優樹がつけた............」
そっとそのアザに触れる。
顔がにやける。
こんな顔は優樹に見せられない。
幸せを堪能する。
やっと、優樹と心も身体も繋がり合えたのだから。
これからは、この手を離さないように努力するだけ。
天然というか、無垢な優樹の対応は理性との戦いになりそうだけど―――――
「もっと、俺の事を知ってもらわなければ..........」
『さてと―――――姫のところに戻ろうかな。』
浩司は、半分ほど飲み干したペットボトルと、新しいボトルを持って優樹の待つベッドルームへと戻っていくのだった。