たった一人の甘々王子さま


「浩司もヤキモチを妬くんだね。」


優樹が確認してくる。


「そう、妬いた。大人げないよな?優樹に男友達がたくさんいてもおかしくないのに。それでも、優樹は俺の婚約者で大切な人。俺以外と仲良くしているのは見たくないよ。」


遠回しに言っても駄目なのは解っているのでストレートに気持ちを伝えた。


優樹の頬が赤くなる。
この気持ちが届いたんだとわかった。
もう、それで十分。
あとは、ちゃんと仲直りするだけ。


どんな方法がいいか..........
よし、思いきって誘うか。
照れて許可してくれないかも..........
聞いてみるか。


「ねぇ、優樹が良いって言うなら仲直りしたい。」


「うん。仲直りする。」



優樹も頷いた。
よし、後は具体的な内容を言うだけ。


「一緒に、お風呂に入ろう?」


「う........え?お風呂?」


引っ掛からなかったか........残念。
優樹から目線をそらして、また戻した。


「やっぱり、恥ずかしい? 俺達、昨日結ばれたばかりだし。 だけど、俺がそう思いたくなるのは優樹だけだからね。 一緒にいたいのも、抱きたいのも、優樹ただ一人だけ。そこはきちんと理解して欲しい。 大丈夫? 愛してるのは優樹だけだよ。」


「う、うん。わかった。理解する。」


大きく頷いて、優樹は浩司を見つめ返した。


「それでも、一緒にお風呂は、ダメ?」


諦めたくない浩司の駆け引きが始まる。
まぁ、おねだりなのだが........


「..........」


「優樹の身体にもっと触れたい。俺の事を感じでもらいたい。 だけど、一緒に入るだけ。なにもしない。 あ、キスはするかもしれないけど。」


「プッ! なにもしないって嘘じゃん。キスするって言っちゃうし。」


優樹が吹き出す。


「やっと笑ったね。よし、お風呂の準備してくるから、優樹はこの部屋で寝る準備してね。」


そう言って浩司は部屋を出ていく。


展開が早すぎて、優樹は困惑ぎみ。
恋人ならこんなにも事が進んでいくものなの?


自分は、始まったばかりだけど浩司はずっと待っていてくれたんだよね..........


「明日、エミに相談しよっと。」


そう呟いて、着替えを用意した。

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