たった一人の甘々王子さま
「はい、ここで待ってて。」
ベッドの上に優樹を運び座らせると、浩司は書斎へ消えていった。
優樹はどこの神社のお守りなのか考えていた。
『必勝祈願とか?あ、試合じゃないから違うか......』
なんて。
「はい、お待たせ。左手だして。」
浩司の言葉に素直に従い、左手を出す優樹。
差し出した手のひらがおやつを貰える子供みたいだ。
しかし、手のひらに乗せられたのはお菓子でもお守りでもなく小さな布製の小袋だ。
その小袋を目の前に持ってきて、じっーと見つめる優樹が本当に幼い子みたいで、『プッ!』と、吹き出す浩司。
「優樹、開けてみて。 一応、お守りなんだけど? しかも、優樹専属のお守り。誰にも触らせないで、俺がいない間は身に付けててね。」
『ほら、袋から出してみて。』
と、浩司に促され、優樹が小袋の中身を取り出すと......
チェーン通されたシンプルなデザインリングがあった。
「これって......」
リングを手にした優樹が浩司を見つめる。
「ペアリングだよ。俺と優樹の。俺のは、ここにある。」
浩司は、自身の首もとからネックレスを取り出した。と、そこにはお揃いの少し大きいリングがぶら下がっていた。
「ネックレスなら、試合中でも着けていて大丈夫でしょ?はい、貸して。着けてあげる。」
浩司が手を出すと、優樹がそっとリングを渡す。浩司が優樹の首元にチェーンを沿わせる。
「良いの?もらっても......」
首元に来たリングに指で触れながら優樹の頬が染まっている。
浩司はゆっくり頷く。
「勿論、優樹が身に付けてくれないと俺が悲しくなるね。 ほら、一緒にショップに行ったとき、ヤキモチ妬かせちゃったから購入出来なかったでしょ? だから、優樹に内緒で準備しました。」
浩司はベッドに座る優樹の前に立て膝をして、優樹の手を握り、見つめながら思いを伝える。そして、
「実は、まだあるんだ.......」
浩司が立ち上がりながら言うと
「え?まだお守りあるの?」
優樹が驚く。
「あぁ、こっちが、重要なんだけどね。」
と、ニヤリ顔で浩司が優樹をベッドに倒し、スエットをたくしあげる。