たった一人の甘々王子さま
昼食は、俊樹の通う大学で食べる事になった。
優樹は親子丼セット。
エミはオムライス。
大学に到着して、食堂へ行く道すがら俊樹にLINEで連絡をいれる。
『一緒にお昼食べれる?エミもいるし』
しかし、
未だ教授から解放されない俊樹の返事は
『スマン!試合が始まるまでには顔を出すよ!』
だった。
ガッカリしたのは、もちろんエミだ。
オムライスにスプーンを刺してポツリと呟く。
「俊樹くん、急に忙しくなったみたいなの。」
「ん?そういえば、いつだったかな.........父さんと何か話してるの見たよ。きっとさ、跡取りならではの課題こなしてるんじゃないの?」
親子丼を掻き込みながら優樹も二人のやり取りを思い出す。きょうだいといってもなかなか会わないのだ。
今朝会えたのも1週間ぶり。
「......うん、元気ならいいんだけどね。」
昼食を食べながら、いつか出掛けた旅行の写真をみながら溜め息をついている。
「今日は会えるんだから、泣くなって。な?未来の社長夫人!」
「もう、優樹ったら.........ありがとね。」
優樹とエミは端からみれば本当に恋人。
エミにとっては未来の小姑にあたる優樹だが、この二人は仲良くやっていけるだろう。
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準備が出来次第、体育館へ移動する。
キャプテン同士挨拶を交わし、今日の段取りの確認。
お互いの練習内容を確認して、1時間後に練習試合開始。
「よし、体を動かしてスッキリするぞ!」
そんな掛け声の優樹に
「空回りして怪我しないでよね?」
エミからチェックが入る。
「わかってるよ。行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
俊には悪いが、そんなやり取りをしていると夫婦みたいだ。
どこかの物陰で除いていたら、ヤキモチ焼かれて物でも投げられ怪我しそうだ―――――
「知らない人が見たら、優樹くんとエミちゃん恋人同士にみえるよね~」
チームメイトからの何気ない言葉。いつものことなのだが――――
「あれ?エミ先輩彼氏さんいますよね?」
「優樹先輩の事を知らない人だったら、絶対にヤキモチやいちゃいますね~」
準備運動をしながら先輩、後輩の会話が飛び交う........
いつものことながら、この手の会話には俊樹に申し訳ないと思う。
いつもエミとは笑ってやり過ごす。
すべての人に自分達のプライベートをバラすのは抵抗がある優樹。
特に俊樹とエミのことは........
さて、そろそろ試合だ。
今回も勝つぞ――――――――!!!
オーー!!