たった一人の甘々王子さま
優樹を乗せて車を走らせていると、いつの間にか優樹は眠っていた。
だからこそ、昔のことや俊樹との話し合いを思い出せたのだ。
河豚になった優樹の顔はいつもの可愛い寝顔になっていた。
もうすぐマンションに着く。
優樹の心が解されてすべて俺だけで埋め尽くされればいいのに。
その為だったらいくらでも抱き締めて温もりを与えてあげる。
浩司は、助手席で眠っている優樹を見つめ、思いを馳せていた。
車を指定の駐車スペースに止める。
『隣に眠る大事なお姫様を起こすとしますか......』
「さぁ、優樹。マンションに着いたよ。起きれる?」
優樹の頬に触れて親指で優しく撫でる。
「ん....着いた?....もう?....ん――――」
「優樹?起きて?部屋にいくよ?」
相変わらず、一度寝たらなかなか起きない姫だ。車の振動が心地よいのか車を走らせると優樹はよく眠る。
よし、はじめの頃よく使った手で声をかけてみるか。
浩司が耳元まで顔を寄せて
「優樹?部屋に戻るよ?起きないと、キスするよ?」
少し顔をあげて耳元から唇へ唇を移動させる。
目を開けた優樹はきっと驚くだろう。
浩司はその驚く顔も可愛いのだ。
すると、優樹はそっと目を開けて
「あ、浩司だ......おはよ......チュッ........まだ眠いから........も少し寝る........」
浩司に不意打ちのキスを残してまた眠りについた優樹。
まさかの展開に浩司も目を見開く。
「........優樹........君が先に煽ったんだからね。文句なしだよ?」
浩司が言い訳をするとすぐに優樹の唇を塞ぐ。
後頭部に手を添えられ、唇を開かれ、あっという間に舌が口の中へ。
浩司の舌が優樹の舌を絡めて、『離さないよ』と吸い上げる。
息苦しくなって、優樹が目覚める。
目を開けると浩司が目の前に。
艶のある色っぽい顔をしているので、優樹はそれだけで驚く。
与えられる快感に耐えきれず浩司の胸をトントンと叩く。
『ンッ....プハッ――――』
「ハァハァ........ちよ、なんで?キス?」
「優樹が可愛く煽ったから。我慢できない。まだ足りないからもう1回ね。」
と、また優樹の唇を塞いだ。
口の中を舐め回して、舌を絡めて、離さない。
最後に大きくリップ音をさせて浩司の唇が離れた。
「もう、これじゃあ足りないな。優樹、部屋にいくよ?」
「え?......なんで?........浩司......?」
荷物を下ろして、優樹も車から下ろし、手を引いてエレベーターまで急ぐ。
すぐにエレベーターが到着して目的地へ。
部屋の鍵をさっと開けて荷物は玄関に置いたまま。靴を脱いで向かった先は寝室ではなくバスルーム。
「汗かいたでしょ?俺が洗ってあげる。ご褒美は、優樹ね?」
「え。そんな、自分でできる!ね、待てってば!」
「待てたら優樹の服なんて脱がさないでしょ? 帰ったらすぐにお風呂に入れるように準備しておいたんだよ? 用意が良いでしょ? さ、俺の愛情を受け止めてね?」
あっという間に裸にされて、気がつけば浩司も同じ姿。
シャワーをかけられて、
髪を洗われて、
途中で何度もキスされて、
身体中泡だらけにされて、
泡がなくなったら愛されて........
二人で湯船に浸かり始めたとき、優樹はもうぐったりしていた。
浩司はとても充たされていて笑顔だ。
「はぁ~幸せ。優樹を目一杯愛せて満足したよ。すべて受け止めてくれてありがとう。」
優樹の後ろから抱き締めて、浩司は幸せに浸っている。
そんな浩司の胸のなかで優樹はまた河豚になっていた。
「浩司の獣......もう、動けないぃ.....のぼせるぅ........スケベヤロー......」
最後はとても小さな声で呟いた。
「動けなくても大丈夫だよ。優樹は大事な姫なんだ。いつまでも抱き締めててあげるよ。」
浩司は優樹の唇にキスを落とした。