たった一人の甘々王子さま
昼休み。
「支倉センセ、田所センセ一緒に飯食べませんか?」
笹木先生に声をかけられた。
手にはコンビニで仕入れたであろう小袋が提げられている。
「はい、勿論。食べましょう!ね、田所センセイ?」
優樹は支倉先生にも確認される。
「はい。頂きましょう。食べないと、午後まで持ちませんよね?」
優樹もお弁当をもって二人の側へ。
「「「はい、いただきます。」」」
3人でお昼を共にする。
年も近いし、みんな大学生なのでサークル気分。
緊張したので食べられないかと思ったが、以外と食べられそうだ。
優樹のお弁当は、勿論、浩司の手作り。
まだまだ料理は浩司の方が上手い。
早起きして作ってくれた浩司を思い出した。
『優樹、おはよ。お弁当は俺が作ったからね。ほら、顔洗っておいで。後は詰め込むだけだし。』
『......おはよ、凄いね、美味しそう。そっか、その為だったんだ早起きしてたの。』
優樹は「ありがとう」って気持ちを込め、キッチンに立つ浩司の後ろから抱き締めて洗面所に行く。
『優樹、ちょっと。』
不意に呼び止められて振り向くと
『今日は格好いい服装でも良いからね。』
と、念を押される。
『スカートなんてはかないよ。一応、体育教師。』
自分を指差して答えるも、浩司は納得してない。
ほんと、この人はどれだけ心配症なんですか?
優樹は呆れてなにも言えない。
フフフッ......と、思い出し笑いをしたとき、
「ねぇ、田所センセって、手作り弁当なの?すごいね。朝なんて忙しいでしょ?」
支倉先生は優樹のお弁当をみながら感心している。