愛されたがり。
二人掛けの席が四つとカウンター席が六つあって、可愛らしい照明や花々で彩られた店内は、乙女心を擽られるものがあった。
ニスが塗られた木の扉を開けると、赤いリボンがついた小さな鐘が鳴る。
レトロな雰囲気が良い。
「いらっしゃいませ」
厨房から声がした。
若い男の人。あの人がシェフなのか。
黒い制服を纏ったウエイターがこちらにやってきて、席へ案内してくれる。
椅子を引いてくれて、私はそこにちょこんと座った。
窓辺の、薄暗い空間。
ほのかな赤のキャンドルが綺麗だ。
少しして、グラスに入ったお水とメニューが渡された。
私たちはメニューへと視線を向ける。
まあ、どれも美味しそう。