愛されたがり。
車に乗り込み、ネオンが光る街を走る。
ゆっくりと、酔いが覚めてきた。
ボンヤリと外の景色を眺めていると、広瀬くんはゆっくりと口を開いた。
「和泉さん……僕、貴女に恋人が出来たと知った時とても辛かったんです」
パッとして彼を見た。
視線だけこちらに寄越して、彼はにこりと少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「……それでも僕は貴女の事が好きだったし、待つつもりでいました。いや、振り向かせるつもりでいたんです」
「おお……」
なんと、広瀬くんは意外と肉食系のようだ。
人は見かけに寄らない。
いや、彼が大胆で押しが強いのは今までで知っていたじゃないか。