愛されたがり。
「和泉さん、鞄持ちます」
「ありがとう。…ごめんね、態々迎えに来てもらっちゃって」
「いえ、気になさらないでください」
貴方が私を待っている姿は、本当に忠犬のようだった……ということは黙っておこう。
広瀬くんの隣に並んで歩き始める。
穏やかな談笑の時間。
今日のディナーは彼と済ます。
どうせまた、お金を受け取ろうとはしないのだろうなあと思い、クスクスと笑った。
車で走ること数十分。
着いたのは小さなフランス料理のお店。
こんな場所にお店があったのかというくらいこじんまりとしていて、けれど、中に入ると思っているより広かった。