泣いてもいいよ。
まさか楠本くんが一年半後死ぬとは思っていなかった、高校一年の春。中2のときに勉強に焦って、内申を取ろうと生徒会に立候補した。そのことがあって、試験はまぁまぁだったけど偏差値は真ん中よりちょっと上ほうの高校に入れた。
でも入ってからはなかなか友達ができなくて、しょっちゅう独りで過ごしてた。そこで話しかけてくれたのが楠本くんだった。
「小野 遥さんだよね。遥って呼んでいい?」
楠本くんは大垣くんといたけど、大垣くんを無理やり連れてきたって感じだった。
美羽だって、楠本くんから紹介された。楠本くんがいたから私は今まで高校生活楽しんでいられたんだと思う。
髪を染めてみたり、ネイルしてみたり、パックしてみたり。
楠本くんに見られたくて、かわいいって言われたくて頑張った。
気づいた時には楠本くんのことが大好きになっていた。
2年になってクラスは離れたけど、大好きな気持ちは変わらなかった。
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