泣いてもいいよ。
だけど……。
伝えることはできないまま楠本くんは死んでしまった。
まだ実感できないよ。楠本くんが亡くなってから三ヶ月経ったのに。
人が死ぬって、どういうことなんだろう。二度とあの優しい声は聞けない。二度とあの優しい顔は見られない。
楠本くんの体は焼かれて、灰になったんだ。
だからもう……。
「おのはる!」
肩がビクッと反応した。
「大垣くん」
放課後の教室には私と大垣くんしかいなかった。
「ちょっとさ……歩こうぜ」
「……いい」
「よくない。歩く」
無理やり教室から引っ張り出された。
「あ、歩くってどこを?」
「いいから」
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