病愛。【完】
「綾香!!恭平くん!!」





お母さんの声で私は目が覚めた。





目を開けると目の前には恭平の顔。





「うわわわっ!!もうよくなったの?恭平?」





「ああ。おかげさまで。」





それならよかった…





私は心の中でホッとしながら






「ごめん。先に下に行っててくれる?」





「なんで?」





「真が心配だから。見てくる。」






すると恭平の顔が一瞬ゆがんだ。









「……俺から離れるなよ。」






「え?」





「ほかの男のところ行ったら俺…どうするかわかんねぇよ?」








____背筋が凍った。





それは昨日の私の危険信号が鳴った時と同じ目だった。





「じゃあ、真のことはお母さんに頼むね。」






私は逃げるようにその場を立ち去った。





あんなの、絶対に前の恭平じゃない…








そりゃ確かに恭平は俺様だったし…





自分中心的な奴だったけど…





あんなに恐さはなかった。






あれは本当に…恭平…??









「お母さん。真の様子を見てきてくれない?」





「いいけど…綾香が行けばいいじゃない。綾香が行ったほうが真も…」





「いいから!!」





私は怒鳴った。





「…わかったわ…?」





お母さんは頭にハテナマークを浮かべながら真の元へ向かった。












「それでいいんだよ。」





後ろから私を抱きしめてくる恭平。





私は、大切な弟を護らなきゃ___。
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