病愛。【完】
授業後。





「…もう一回言って?真?」




「だから、今日うちに颯来るぜ。」





「だから何で?!」





「俺が呼んだ。」





「はぁっ…?!」






帰り道。





校門で待ち伏せしていた真にいきなりそんなことを言われた。






「颯なんて連れてきたら恭平が…」





と、私は驚きよりも恭平への恐怖のほうが勝っていた。





「恭平なんて気にするなよ。」





真はそう言うとさっさと歩いていってしまった。





「ちょっと真!!」





私は走って真に追いついた。






「ホントにバレたらどうするの?!颯に何かあったら…」






「…あいつは異常だって。言われただろ?」






「だから危険なんじゃん…!」





「俺は!!」





真は大声を出していきなり立ち止まった。






「真…?」





そして真は私の手をにぎった。






「俺は、綾香を護りたい…」






消え入りそうな声でそう呟いた。





私はギュっと真の手を握り返した。





真は私のためを思って___






私、こんな姉思いの弟がいて幸せだなぁ…





そんなことを思った。
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