病愛。【完】
私はスーパーでお母さんに頼まれたものを買っていた。





「えっと…確か…」




私は記憶をたどりながら買い物かごに入れていく。





そして全部買えると私はレジへ行って会計を済ませた。






しかし…





「重っ…」






レジ袋は意外と重かった。






とりあえずスーパーを出たのはいいが、家まで持っていける気がしない。







どうしようと悩んでいると…







「伊藤?」






私に声をかけてきたのは颯だった。





「ま、まだうちに行ってなかったんだね?」






「ああ。真から綾香がスーパー行ったって連絡あったからな。」






真の策略か…





手回しのいい自分の弟に感心していると。







颯はひょいっと私の買い物袋を持ち始めた。








「ちょっ…重いでしょ?」






「いや。大丈夫。男なめんなよ。」







颯はそう言い私にデコピンした。






私は颯についていった。





さっき私が重いと苦しんでたのをいとも簡単に持ち上げる颯は…








やっぱ男だなぁ…とそう思わせた。







「どうした?伊藤?」





どうやら私は長らく颯を直視していたらしく。







私はそれに気づくと慌ててそっぽを向いて





「べ…別にっ!!」





と顔を赤くして言った。





家の前の公園で颯は立ち止まった。






「颯?」





私は疲れてしまったのかなと心配して颯のほうに寄っていった。






「颯?どうした…」






と言いかけた時だった。










颯の唇が軽く私の頬に触れた。










私は何が起きたのかわからず…






ただ呆然と立ち尽くして顔を真っ赤にしていた。
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