病愛。【完】
「じゃあ行こうか。」





「え…う、うん?」






さっきのことがまるでなかったように言う颯に私は戸惑う。






てか今の…何?!





私の顔の赤みはなかなか消えなかった。











家に帰ると。






「お帰り。綾香。」





恭平が玄関に立っていた。





な、なんで…恭平は夜に来るんじゃ…?!





私が顔を真っ青にしていると






「こんにちは。」






颯は恭平に普通に挨拶した。





恭平は颯をにらむ。






そして…






「綾香。ちょっと来て?」





恭平に腕をつかまれた。





「う…うん。」






今は恭平の言うことに従わないと颯までもが…





「…待てよ。」






颯が口を開いた。






「ん?何?」





恭平はあくまで笑顔を颯に向ける。






「俺、今日は伊藤と話したくて来たんで。」





と恭平相手に颯は、はっきり言った。






「颯…」





すると恭平はニコッと笑って






「君は綾香の何?」







その声は。





暗くて低い…あの時の声。







私の危険信号が鳴り響く。









「恭平!!私の部屋に行こう!!」





私はそう言い恭平を無理やり連れて階段を上がった。







「伊藤!!」






私は颯に嘘の笑顔を向けて恭平と共に自分の部屋へ入った。
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