病愛。【完】
「颯…颯っ!!!」





私は何度も颯を拒み続けた。





けれど颯は一向にやめようとはしなかった。






むしろ激しくなってるようで。






「やめて…やめてってば!!!」




私がさけぶと颯は





「うるせェ!!」





と怒鳴り私を見た。





私が見た颯の目は…




『獲物を狙うオオカミ』





それが一番近かった。






「伊藤がいけないんだ…伊藤が…」





颯はそう何度もつぶやく。






「どうしたら俺のものになる…?」






颯は壊れてる。





それだけはわかった。







「お願い。颯。もうやめて…」





私がそう請うように言うと、






「…恭平に言われてるから?」





「それもあるけど…」





「…あいつに言われてるからなんだったら…別にいい。」







すると颯はまた私の首筋に吸い付くようなキス。







そして…





「痛いッ!!」





私は激しい痛みに襲われた。






颯は顔を上げる。





私は首筋を見てみた。





赤い痕…






「キスマークだ。」






颯がつぶやく。







うそ…?





私、颯にキスマークを…?









そのとき、ちょうど始業のチャイムが鳴った。





しかし私の耳には全く入らなかった___
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