病愛。【完】
恭平が私の制服に手をかける。




ヤバイ…!!





そう思った時にはもう遅かった。






あの痕をかくしていた制服の襟はめくられ…





首筋は丸見え。





恭平はもうあの痕を見つけたらしい。






目を見開いて固まっている。






私は素早く恭平から離れてベッドの隅へと向かった。






しばらく沈黙が続く。





私は襟を戻してあの痕をかくした。






そしてようやく恭平が口を開いた。







「俺はそんな赤い痕、つけた覚えねぇけど…?」







「あ、当たり前でしょ?恭平につけられたんじゃないから。」






「じゃあ誰につけられた…?」






「それは…」






私が言いづまると恭平はベッドの隅…私の所までやってきて私を壁に追い詰めた。







「答えろよ…!!」





恭平の目は血走っている。





恐い。





でも私は口を開かなかった。





颯なんて言ったら私だけじゃなくて…






颯にも危害を及ぼすことになるだろう。






「綾香。答えろ。誰が俺に許されてもないのに綾香に傷をつけた?」






「…」





私は恭平の目を見たまま黙る。






「綾香…やっぱりお前は俺の彼女だって本当に思ってないんだな…」







恭平はそう言うと…






「んんっ?!」





私にキスをしてきた。






むさぼるように…何度も何度もキスをする。






そして唇を重ねている時間が長い。






窒息してしまいそうだった。






唇を離した少しの間、恭平は






「答えろ…答えろよ…」




としきりに呟いていた。
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