病愛。【完】
颯side




俺はなんてことをしてしまったんだろう。





ずっと後悔していた。





なぜ俺はあそこで自分を抑えられなかった…?






伊藤が去った教室で一人、机に突っ伏していた。






あんな痕…なんでつけてしまったんだろう。






俺は冷静を保っていたが…





実は頭の中は色んなことが渦まいて…





大変なことになっていたんだ。








「あ~アレ、伊藤さんじゃない?」





「あ。ホントだ~あのかっこいい彼といるね。」





伊藤…?





俺は女子たちの話を耳にして窓から下を見た。





そこには確かに伊藤と恭平の姿がある。





恭平は伊藤の肩をつかみ…抱き寄せている。







「やば~い。うらやましいね。あんなかっこいい彼氏に。」





「女の夢だよね~あんなふうにされるの。」





…夢?




そんなの伊藤は恭平に抱いちゃいない。





でも…俺でもダメなんじゃないのか?





きっと伊藤は俺のことを「友達」としか見てない。







だから…




俺はまた机に戻ると突っ伏した。





もっと俺がかっこいい男だったらな…





そんなことを考えているとあっという間に時間は過ぎた。






もう最終下校時間だ。






「帰ろうかな…」





そう思って席を立った時だった。






誰もいない教室で俺の携帯が鳴る。






「真…?」






ディスプレイには真の名前。




俺は電話に出た。





「どうした?真?」





『綾香が、綾香が帰ってこないんだよ…!!』





「は?ずいぶん前に恭平と仲良く帰って行ったぞ…?」






『じゃあ学校にはいないのか…?じゃあどこに…?!』







嫌な予感しかしなかった。





「探しに行くぞ!!」




『わかった!!』





そこで俺は電話を切りすごいスピードで校舎を出た。





伊藤…!!





無事でいろよ____
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