病愛。【完】
「綾香。俺、恭平のところに行って来る。」




「えっ?何を言うの?真。」





「もう来るなって伝える。」




それを聞き私は全身に鳥肌が立った。




そんなことしたらまた…!!





私が止めようとすると真は優しく私の頭をなでた。






「大丈夫だから。」





真はそう言うと校門のほうへと行ってしまった。





私はまたその場にかがんだ。





私は…いつも真には頼ってばかり…





私がお姉ちゃんなのに。




私が真を守らないといけないのに。





なんで私は頼もしくいれないんだろう…





やっぱり私は…





「かっこいいわね。伊藤さんの弟。」





同じクラスの女子生徒が言う。





「かっこいいというか…強いんです。真は。」





私が言うと女子生徒は笑って





「でも伊藤さんを守りたいって思いがにじみ出てたわよ。」





私を守りたい…?





守ってあげるのは私のほうなのに…?






「姉も弟も関係ないのよ。男は…女を護りたいものなのよ。」





女子生徒はそう言うと私に微笑みかけ教室へと入っていった。





男は…女を護りたいもの…





私は立ち上がりもう一度窓から校門のほうを見つめた。





そこには恭平が立っている。





そして…今、校舎のほうから一人の男子生徒が。





「真…」





昼ごはんにみんな夢中になってる頃。





校門ではある事が起ころうとしていたことはきっと私しか知らない。
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