病愛。【完】
颯side




「…」



「成美…もう大丈夫か?」




「…離したら、綾香のところ行っちゃうんでしょ?」




成美は俺を抱きしめる力を強めた。





「でも…伊藤、全然来ないし。心配だろ…?」




成美は何も言わない。





「成美…」





「颯。私…颯のことね…?」





成美が上目遣いで俺を見てくる。





まさか成美…!!





「やめろ…成美…!!」





「嫌だ!!言うわ。私は、颯のことが…」





ここで言われたら…俺はどうしていいかわかんなくなる。





ただ俺は「やめろ」と言い続けるしかなくて。





「やめろっ!!成美!!」




「なんで?!」





拒み続ける俺に成美はついにさけんだ。






「なんで?そんなに私の気持ちは迷惑なの?!」





迷惑…?




「それは…」





「でもさ。これは同じだよ?颯が…綾香にやったことと。」





心にささるその言葉。




確かに俺も人のことを言えない。




俺も…混乱していた綾香に告白したんだから。





「ねぇ…私にしない?」





成美は俺にすがりながら何度もつぶやいた。




「私にしてよ…?」





俺は、綾香をあきらめて成美に…?
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