病愛。【完】
真side




朝輝…




俺はベッドの上でずっと考えていた。




綾香は今、朝輝を探しに行ってる。





嫌な予感しかなかった。





何かが起こる…そんな予感がした。





確かに俺と朝輝は友達。





と同時にずっと側にいた幼馴染でもある。





だから、朝輝が綾香に抱いていた思いのことにも気づいていた。





最初は別に気にすることも無かった。





それに朝輝は可愛くて人懐っこいいい奴だ。





どうせ綾香に彼氏ができるのなら朝輝がいい…





そんなことも思っていたのだが…







歳を重ねていくうちに朝輝はおかしくなった。








綾香への思いが病的なものになっていたのだ。







『自分の物にしたい』『どうやったら綾香を手に入れられる?』






そんなことを思い始めていたのだった。





口にしていたわけではないのだが…





俺にはこいつが危険だということにいち早く気づいたのだ。










朝輝を綾香に近づけちゃいけない。





そう、本能的に感じ取って。





その朝輝の様子は…恭平そっくりだ。





また綾香が怖い目にあったら…





俺は、護らなくちゃいけない。綾香を。





でも今の俺じゃすぐにダウンだ。





誰に助けを呼べばいい…?









俺は机の上においてあった携帯をにぎった。





アドレス帳から助けを求められる人を探す。





颯。




そうだ。颯に…






しかし俺は通話ボタンを押すのをやめた。





颯といるところを恭平に見られたら…




また綾香を恐怖させてしまう。




じゃあ…




俺はアドレス帳の目が入った人を見てためらった。





でも。今、一番来たほうがいいのは…こいつだ。







嫌だった。




嫌だったけど…




俺はボタンを押す。




少しの間コールが鳴る。




そしてあの声が耳に響いた。







『もしもし』





「今すぐ…家に来い。綾香を助けてくれ…ゴホッ」





『…わかった。』





それだけで通話は終わった。




綾香を頼む。













「恭平…」
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