病愛。【完】
恭平side





携帯電話が鳴る。





一瞬、綾香かと思ってわくわくしたが…




「なんだ。弟か。」




それは真だった。




でも真って今、風邪だったんじゃないのか?





だから綾香は看病に…




はぁ。




俺も風邪ひきてぇなぁ…








「もしもし。」





声が暗い真はすごく調子が悪そうだった。





でもそんな真は確かに言った。







『今すぐ…家に来い。綾香を助けてくれ…』








綾香を助けてくれ?




一体何があったのか。




そう聞きたいのは山々だったが…








「…わかった。」






真が俺に助けを求めるなんてよっぽどだ。





俺は即座に家を飛び出した。





茜色に染まった空がとてもキレイな時間だった。





俺はひたすら走った。





綾香の家までの距離は徒歩1時間くらいだった。





早く助けに行きたいのに…





距離が惜しい。










それにしても一体綾香の身に何があったのだろう。






…もしかしたら…





「男か…?」




そんなことはないはずだ。




男との縁をすべて断ち切れ。





そう言ったはずだし、颯にも見張らせている。





今のところ報告は何もない。





じゃあ颯…?





でも颯が相手なら真は口出ししないはず。





じゃあ一体…?





「誰なんだよ…!!」





疑問がふくらんでいって…






答えがわからないことに俺はむしゃくしゃしていた。
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