病愛。【完】
私は、恭平が来た時に喜ぶなんてことは一度もなかった。






恭平が来るといつも負の感情が私を襲う。





でも。今は違う。





恭平が来てくれて嬉しかった、というより安心した。





こんなこと初めてで自分自身、戸惑ったりした。





「綾香…!!」





そう名前を呼んでくれるだけで安心感が持てた。









そんな矢先。





恭平は朝輝の様子を見てつぶやいたのだ。




「似てる…?」




と。




「…!!」




「え…?」





朝輝は恭平の言葉に戸惑っているようだった。





「そうか。コイツ…俺と似てるから腹が立ったのか…」




「恭平…」





「僕が君に似てる?ありえない話だね。僕は君のように…」





「似てる。綾香を愛しすぎて…狂ってる。」





朝輝は図星をつかれたようだった。





恭平の何かが変わった…?





「わかるぜ?綾香を愛し過ぎることは。でも…」





恭平は私のほうに歩いてくるとグイッと私のうでを自分の方に引き寄せた。





「でも綾香は俺の物だ。誰にも譲らない。」





はっきりそう言った。






「っ…!!ぼ、僕は…絶対に綾香先輩をあきらめませんから!!」





朝輝はそう言い私の部屋を飛び出していった。




それからバタンと扉がしまる音が聞こえる。




私は恭平に向き直った。








「恭平…」
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