病愛。【完】
恭平side




愛しい綾香。




大好きで大好きでしょうがなかった綾香。





そんな綾香は今、俺の目の前にいて…




俺のことを真剣に見つめている。





こんなこと…今までなかった。





綾香はいつも俺のことなんて考えてくれなくて…




俺と向き合ってはくれなかった。




だから俺がいつも無理やり自分のことを考えさせていたんだ。







「綾香…」




「ありがとう。恭平。」




綾香は俺に向かって微笑む。




心臓がもたない。




可愛いくて…





もう誰にも渡したくない。





この笑顔をずっと…俺だけに向けていてほしい。





でも、きっとそれは叶わない。





もうこの笑顔を俺に向けてくれることは一生ない。





俺にはそう断言できた。





だから…今のこのまま、綾香をどこかに封じておきたい。










俺の『コレクション』にしたい…









気持ちがうずく。



狂ってきている。




もう綾香を男と関わらせたくない。





ずっとずっと俺の側にいろよ?







俺は綾香を抱きしめた。




「恭平…」




綾香が俺の名前を呼ぶ。





その口がもう俺の名前だけしか言わなくなってほしい。




独占欲がどんどん大きくなっていく。





綾香…綾香…綾香…綾香…







「綾香…!!」






俺は…もう自分で自分の押さえがきかなくなっていたー。
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