病愛。【完】
私はその言葉を聞いた瞬間、固まってしまった。





「恭平?ど、どういうこと…?」




私は後ずさる。





「何もねぇよ?安心しろって。」




ダメだ。




私は反射的にそう感じた。




危険信号が鳴ったのだ。










私はとりあえず部屋を飛び出した。




そして階段を駆け下りて…




私はキッチンの影にかくれた。




アレは狂った恭平。




あの恭平はいつもと違う恭平だ。






「綾香?なんで逃げるんだよ??」




恭平の声。




体の温度が一気に下がった気がした。





「またトイレか?」




恭平がトイレのほうへと向かった。




このままじゃ見つかる。





どこか安全な場所に…!!





私はキッチンからそっと抜け出した。






そして、和室にある押入れの中に飛び込んだ。




私が押入れのドアを閉めるのと、恭平がトイレから戻ってくるのとはほぼ同時だった。








「もしかしてキッチン?」




恭平はキッチンのほうへ行ったよう。





もし、今もあそこで隠れてたら…




そう思うとゾッとした。





「いない…か。どこに隠れたんだろうな…」






恭平の声と足音だけが…静かな家に響く。




恭平に捕まりたくない。




嫌だ…嫌だ…




早く…!!出てって…!!





私はそれだけをせまい押入れの中で祈り続けた。





こうして恐怖のヤンデレカクレンボが幕を開けたのだ…。
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