病愛。【完】
恭平の気配を感じた。





ヤダ。恐い…




私は目をつむった。





足音が除々に近づいてくる。




私は必死に息をとめたりして気配を消した。




でも…足音は真っ直ぐ私のいる押入れに。









そういえば…恭平はカクレンボをしたらいつも私を見つけるのが早かったな…




ふとそんなことを思った。





すぐに見つかっちゃって…悔しくて…





でも…私はいつも恭平を探せなかった。





それで恭平はいつも怒ってて…





あの頃から私の中では恭平は自己中心的な苦手な男子。





そうして私の中で認識され続けてきた。






今も…それは変わらない。





でも、さっきのように私を助けてくれたり、いいとこだってある。






それでもやっぱり…










そこで足音がピタリとやんだ。




体中の鳥肌がたった気がした。




さっきまで私の目の前は真っ暗な闇の世界だった。




でも…今。





私の目にはまぶしいほどの光が入ってきていた。




私は恐る恐る見上げてみた。





そこには満足そうな恭平。







「みーっつけた。」








やっぱり…私にとって恭平は…





逆らえない恐い存在。







そして私を縛る…『悪魔』。
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