病愛。【完】
真side





電話が鳴った。




「はーいはい。」





お母さんが慌てて電話をとりに行く。




俺もちょうど下へおりてきた時だった。





そういえば綾香はまだ帰ってないのか…?




そんなことを思う。





今日はどこかへ出かけていったが…誰と出かけるかは教えてくれなかった。





まぁ聞く理由もないしな。









「あら。そうなの。綾香が。」





綾香の友達か…?





だがお母さんが綾香のことを話しているのは明確だった。





「わかったわ。綾香がそう言うのなら仕方ないものね。」





お母さんは話し続けている。





「綾香も青春をきちんと味わってもらいたいし…ね。」





青春?




というかどんな話なんだ…?





「じゃあ学校の手続きはおまかせしちゃうわね。綾香をよろしく。はーい。」





そう言い電話を切るお母さん。




そしてキッチンに戻ってきた。





俺はダイニングテーブルに座ってお母さんに





「綾香がどうかしたのか?」





と聞くと。





「ああ。綾香ね、しばらく家には帰ってこないのよ~」




家に…帰ってこない?





「どういうことだよ…?」





「ん?なんかね。綾香は彼氏と一緒の時を過ごしたいんですって。」





彼氏?





……まさか!!






「まぁ彼氏が恭平くんなら私も安心なんだけどね~」





まさかが的中した。






「お母さん!!今すぐ綾香を呼び戻さないと!!」





俺がそうさけぶと





「真。もういい加減に姉離れしなさいよ?綾香にも綾香の生き方があるんだから。」





そんなこと…わかってる。




でも…でも…!!







「俺は恭平には綾香をまかせられねぇ…!!」









俺はそう言い家を飛び出そうとした。




「やめなさい。真。」




それを…お母さんに止められた。




「綾香と恭平くんの邪魔は…私がさせないわ。」





そう言うお母さんは真剣な表情だった…。
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