病愛。【完】
暗く、狭い部屋で…私は一人、鎖につながれていた。




食べ物は今のところ、何も口にしていない。




私ができることといえば…




過去のことを思い出すくらいだった。





「私…考えてみれば恭平とずっと一緒だった…」




そんなことを思い出していた。




私と恭平はいとこ関係。




そして…





物心ついた時から、恭平はずっと私の側にいた。













『綾香。いとこの恭平くんよ。』




『恭平くん?』




恭平の最初の印象は、目つきの悪い恐い男の子…だった。





『お母さんっ、恭平くん恐いよぉ…』





『そんなこと言っちゃだめよ。仲良くしなさい?』




お母さんはそう言いいつも私と恭平を二人きりにさせてた。





そして、真が生まれてからも…私はずっと恭平といさせられてた。





そんな恭平は歳を重ねていくうちに…





『オイ。綾香。』




『ん?何…』




恭平はそう言うと手を差し出した。





『何?何持ってるのー??』




私は好奇心で聞くと…





『蜘蛛だぜ!!』




『きゃぁっ!!やだぁーっ!』




『ざまぁみろ。』




私はいつも泣いていた。





いつも私はいじめてくる恭平に泣かされていた。




もうこの時から恭平は、私にとって大嫌いな男の子。
< 93 / 117 >

この作品をシェア

pagetop