あなただから
ラブレター
チャイムが鳴ったが、何となく教室に行く気にはならず、体育館を出た後、私はそのまま屋上へと向かった。
あまり人の来ない実習棟の屋上は、私のお気に入りのサボり場だった。
ドアを開けると、案の定そこには誰一人としていなかった。
頬を撫でる心地良い暖かさの風が、春の訪れを告げている。
あれから一年たつのか。
ふと、そう思った。
一年前なんてもう昔のことなのだが、私にとっては――。
「……ダメだダメだ、忘れろ」
口に出したのは、自分自身に言い聞かせるため。
頭を左右に振り、それに加えて両頬を両手で叩く。
乾いた音が、青い空に吸い込まれるように消える。
「――ったく、何なのよあいつ。失礼過ぎる!!」
分かっている、私が下手くそなことぐらい。
他の人に言われれば笑っていられるかもしれないが、“あいつ”に言われると腹が立つ。