あなただから
鞄を置き、フェンスに背を預けて座った。
空を見上げれば、白い雲がのんびりと澄み切った青の中を移動している。
嗚呼、白は純粋を連想してしまう。
そっと胸に手をあて、瞼を下ろした。
この汚れている心は、あの雲とは正反対の色をしている。
真っ黒で、真っ黒で、真っ黒で、真っ黒で。
白い絵の具を水をこぼしても、きっとこれは染まらないだろう。
下ろしている瞼を上げ、小さく息を吐く。
それは、溜息。
――ガチャッ。
その時、突然ドアが開いた。
急なことにびっくりし、私は勢い良くそちらに視線を向けた。
ゆっくりと開いていくドアが完全に開かれると、そこには一人の女子生徒が立っていた。
小柄で、いかにも“女の子”って感じの可愛らしい子だ。
両耳の下で結えた黒い髪の毛が、吹き抜ける風にのって揺れる。
知らない子だ。
今までこの場所で見かけたことはないし、そもそもサボりそうな子には見えない。