あなただから
後ろ手でドアを閉めた彼女は、一度は俯いたものの、チロチロとこちらを見ている。
何か私に用事でもあるのだろうか。
そう思い声をかけようと口を開こうとした時、
「――……ッ…あの!!」
緊張しているのがヒシヒシと伝わってくる声で、先に彼女の方が声を掛けてきた。
「ん? どうした?」
出来る限り彼女の緊張を解そうと、笑顔を添えてそう返事を返す。
すると女子生徒は、急にモジモジしながらこちらへと歩み寄って来た。
近くで見れば、彼女の頬がリンゴの様に真っ赤に染まっているのがよく分かる。
「こっ、これを……」
そう言って彼女が差し出したのは、淡いピンク色の封筒だった。
「これ……?」
「あっ、えっと……これを……そのぉ……」
「緊張しないで大丈夫だから」
彼女の顔を見上げると、少し目が潤んでいた。
私ってそんなに怖い人なのだろうかと一瞬思ったが、どうやら私が理由ではないようだ。