家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
トントンと後ろから肩を軽く叩かれビクリと肩を震わせる。
ここで目を開けるべき?
いや、開けない方が身のため?
見えない相手にただただ怯える。
…だけど、そうしている内にジッとしていることに耐えられなくなってしまった。
そっと瞼を開き、後ろをゆっくりと振り返る。
「…なんだ」
肩を叩いていた相手の姿を見た瞬間ホッと肩の力が抜ける。
「…柚、でしょ?」
不思議そうに、首を傾げるすみれ色の瞳を持った、あたしが探していた人物。
「あ、探してたんだから」
そう言って腰をあげようとしたが中々言うことを聞かない。
あれあれ?
これはもしかして…
「…腰抜けた」
あぁぁぁ!!
恥ずかしい、今すぐ穴を掘って埋まりたいっ!
なにこれかっこ悪い。
さっきも馬鹿みたいに怯えてたのに、今度は腰抜けた!?
好きな人の前でこんな羞恥はない!
まだ少し暗いからいいけど…。
なんて言ったらいいの。