家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
え?
と最初は不思議で首を傾げたらそりゃそうだ。
皆から視線を受けるのも無理ない。
「み、巳波、下ろして。…恥ずかしい」
巳波の背に顔を埋め顔を隠す。
こんな視線の中顔をあげるなんて無理。
「やだ」
だが巳波はあたしの要求を拒否した。
「なんで…?」
巳波はあたしの言葉には応えず、お化け屋敷をしていた教室から出て、どこかへとあたしを連れて進んで行く。
その途中会う人達にもガン見され、コソコソとこっちを指差しながら何かを言われた。
「ちょっと!下ろしてよっ」
ジタバタと暴れてみるけど巳波はしれっとした顔を保ったまま。
そしてピタリと止まったと思ったら“保健室”と書かれたプレートが下がっているドアを開けた。
ふんわりと保健室の独特な消毒液の匂いが鼻の奥に広がる。
保健室の奥に入って行くが、どうやら先生はいないようだ。
「寝て」
巳波はベットの上にあたしを下ろし指示するけど、寝てたまるか。
「心配してくれるのは嬉しいけど、あたしまだ寝ないから」
腰抜けちゃったのは恥ずかしいけど、ちょうど良かった。
ここには今、あたしと巳波しかいない。