家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


「柚、起きて」


ゆさゆさと軽く柚を揺すって起こすことを試みるが全く起きる様子がない。


お姫様の話、柚のためにもちゃんと聞いておきたい。


外はもう薄暗い。


できるだけ明るいうちに柚を家まで送らないとまた誰かに攫われる可能性だってある。


「…ごめん」


起きてないから聞いているはずもないけど一応先に謝っておく。


柚の鞄と俺の鞄を腕にかけ、柚を両手でゆっくりと持ち上げる。


所詮お姫様抱っこと言われるもの。


俵担ぎの方が楽は楽だが、流石にスカートを履いていたからそれはやめにした。


俺達以外は殆どもう帰ってしまっている。


いるのは生徒会ぐらいじゃないだろうか。


おんぶをしていた時のように俺達を見る視線はあまり多くなく安心した。


マンションにつき、柚に作ってもらった合鍵を使用する。


柚の部屋に入るのは風邪の日以来。


雑誌があちこちに散らばっているのを踏まないように気をつけて、柚をベットへと移動させた。


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