家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
〈巳波八尋side〉
柚がどこかへ行った後、俺しかいない静かな部屋でテーブルの上に置いてあるメロンパンを口に含む。
「…おいしい」
片手にはいつものいちごミルクもちゃんとあり、至福の時間。
しかしいちごミルクや食べ物を食べる時に襲ってくる罪悪感。
ふと、カレンダーをぼんやり見てみれば今日の日付の所に“バイト”という文字が記入されていた。
柚がバイトに行ってるのに俺は家でのんびりとしている。
……居候の身にも関わらず。
この場所は居心地が良すぎる。
こんなにも長い間滞在するつもりは無かったというのに…ここから離れられないのは何故だろう。
「…そろそろ、離れないといけないな」
いい加減、柚に迷惑をかけるのは止めたい。
その為には早くバイトを見つけて新しく住む場所を決めなければいけないのに…。
「なんで見つからない…」
良い時給のバイト先が見つからない。