家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
「柚鈴ちゃん、ちょっとこっちに来てくれる?」
きーさんに手招きをされて、大人しくきーさんの元へ行く。
仕事中になんだろう?
なんかあたし、まずいことしたっけ?
頭の中で色々思い浮かべるけど、思い当たる節がいくつかあり、苦笑いを浮かべる。
もしかして、前にきーさんが楽しみにしてたちょっと高級なプリン食べたことかな?
「な、なんですか」
きーさんは、怒ると怖い。
ビクビクとしながら聞けば、あたしが考えていることと全く違う事を言い出した。
「あの男、柚鈴ちゃんのの知り合いか?」
きーさんが指差す方向に視線を向ければ、見慣れた男。
その姿は間違いなくあたしの好きな人で巳波だ。
なんでこんな所にいるんだろ?
「あ、まぁ知り合いですけど…」
「それならいいんだけどな、さっきからアイツ柚鈴ちゃんのことチラチラ見てたから柚鈴ちゃんのストーカーかと思ったよ」
きーさんはそう言って、はぁ…とため息1つこぼした。
「あはははは…」
あたしのバイト先なんで知ってるの?
それとも偶然?
「すみません、少しあの人と話してきてもいいですか?」
「あー…まだ人少ないし、いいよ」
きーさんの許しをもらい、すぐに巳波の元に行く。
「あ…柚」
「どうしたのよ、こんな所にきて」
少し怒ってるような口調になってしまったのはただの照れ隠し。