家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
「柚鈴っ!」
あたしの名前を呼んだ方に顔を向ければ、ニコニコと可愛らしい笑みを浮かべるショートカットの背が高い女の子の姿。
「あ、心。どうしたの?」
彼女の名前は芦屋心〈Ashiya Kokoro〉
因みに心の身長は170cmであたしよりも12cm背が高く、一見イケメン男子高生のような見た目。
しかし、心は身長がコンプレックスらしく、男に見られるのも嫌なんだとか…。
「どうしたの?じゃないよ!久しぶりに一緒に食べようと思ってたのに、居なかったし…もしかして、また呼び出しだったの?」
心配そうにあたしの顔を見る心。
「いや?…呼び出しじゃないよ。ほら、さっき先生に言ったでしょ?調子が悪かったって」
笑ってそう言えば、心は「それなら良いんだけどね」と言ってホッとした様な顔をした。
…良かった。
上手く誤魔化せた。
唯一の友達と呼べるような存在の心には心配をかけたくなんかない。
「そういえばね、昨日変わった猫と一緒に住むことになったんだ」
話題を変えよう。
心配をかけさないように。
「本当!?今度見せてよ。猫、好きなんだ〜。可愛い?」
「ん〜、どうだろ。可愛いのかな?ギャップ萌え?」
「何それ!猫にギャップ萌えなんかあるの?」
うん、多分猫にはギャップ萌え要素なんて無いとあたしも思う。
「…でも、どこかほっとけないかな」
可愛いは置いといて。
巳波は可愛いよりも、綺麗の方がピッタリだしね。