家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
君は関係ないと言ってあたしを突き放す
〈巳波八尋side〉
ザワザワと周りの奴等が此方を見て、何かを言っているのが分かる。
「…チッ」
小さく、舌打ちをすると周りの奴等は皆口を噤んだ。
着慣れた制服に身を包み、自然と人が避け、空いた道を通る。
そう、俺は高校に来ていた。
敵意、羨望、好意、尊敬…
色々な視線を感じ、眉間に皺を寄せながらも校舎内へと入る。
…めんどくさ。
本当は来たくなんて無かった。
でも、ゆずが
『駄目、何日休んでるか知らないけど、留年するよ?…取り敢えず折角学校に通えてるんだから勿体無いでしょ』
なんて言うから仕方無く。
俺の事を少し気にかけているようで渋々うなづいた。
彼奴らに関わらなきゃ良いだけだし。
なんとか…
「…や、ひろ?」
時すでに遅し、とはこの事だろう。
1番めんどくさい奴に会った。
「…チッ」
早くも本日二回目の舌打ち。
あぁ、いちごミルクが飲みたい。