家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
鞄の中から朝、あらかじめ買っておいたいちごミルクのパックにストローを差しイライラを無くすように一気に飲み干した。
グシャリと右手でパックを握り潰す。
嗚呼、ムカつく。
やっぱ来なければ良かったなんて思っても来てしまったものは仕方無く、帰ろうかとも考えてみたが、鍵を持っていなかったのですぐにその考えを消した。
取り敢えず、何かで暇潰しでもしようかと思考を巡らせ、ある事がすっかり頭から抜けていたことを思い出す。
…それは、ゆずの家に住んでいい代わりに提示された3つのルールの内の一つのバイトをする事だ。
正直、バイトなんて初めてだし、笑顔で接客なんかも到底無理。
出来れば楽で給料が高いところがいいが、やはりそれらは所謂夜の仕事というやつで
「…どうするか」
端末を弄りながら溜息をついた。
すると、微かに聞こえる女の黄色い声。
…アイツ等か。
珍しい、アイツ等が午前中から学校に来るなんて。
今日は、運が悪いな…。
とっくに2時限目は始まっている時間だがしょうがない。
授業に参加したとしても寝るだけだし、勿論話なんか聞かないが、ただそこに居るだけで単位は取れる。
授業には3時限目から出席すればいい。
これ以上耳障りな声を聞きたくなくて、寝る体制に入る。
次第に意識が遠のき、眠りについた。
〈side END〉