家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


夏に渡された苺生クリームパンを手に取り、値段を確認する。


…480円か、これでいいか。


「…で、何だよ夏」


他の奴等に見つかるよりは良かったけど、お前が話しかけてくるなんて珍しい。


「ん〜?俺はお前のことが嫌いじゃないからねぇ」


普通に接したいわけよ。


夏は制服のポケットから棒付きの飴を取り出し美味しそうに口に入れる。


「…いつも傍観者面してるお前が?」


「だって〜、八尋が抜けてからアイツ等何も行動しねぇし飽きた」


折角美味しそうに口の中で転がしていた飴を噛み、嫌そうな顔をした。


それは夏にとっては嫌だろうな。


「だから、暴れ足りないから女の子で補うしかねぇじゃねぇの…」


コイツは俺が見てきた中で喧嘩狂の言葉が1番似合う。


「…抜ければ?」


夏はあの中にいるより違う所に行くか、1人の方が良い気がする。


「いや、抜けねぇよ。…今抜けるとアイツ等に恨まれそうだしね〜」


ケラケラ腹を抱えて笑う。


「まぁ夏が抜けたら…終わり、だな」


抜けることは許さないだろう。


「てな訳よ。…じゃあ、アイツ等来るから早く行った方が良いよ〜」


…それもそうだな。


俺は苺生クリームパンを買い、また空き教室まで足を進めた。


「やぁと、少しはつまらなくなくなるかな〜?」


なんて後ろで道化師が笑っているとも知らずに。

〈side END〉
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