家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


「…はぁ!?ちがっ」


“違う”とはっきり言おうとしたが、巳波が私の頬を撫でるように触り、親指で唇を縁取るようになぞる。


「…柚は拾ってくれたから、お礼してもいい…」


「…っ」


やばいっ色気にやられる!!


そう思った時には唇と唇の距離は数cmしか無かった。


__ピンポーン


…そこで良いタイミングで鳴った呼び鈴。


「はっ離して!!」


やっと呼び鈴のおかげで我に返ることが出来たあたしは顔を俯かせながら巳波の胸板を精一杯押した。


巳波は押されるとは思っていなかったのか、簡単に後ろへとグラつく。


その隙を狙い、巳波から距離をとった。


__ピンポーン、ピンポーン


その間にも呼び鈴は鳴らされる。


「…えっと、あたし出てくるね」


さっきの出来事で気まずくなった空気を変えようとあたしは玄関のドアを開けた。



「…初めまして」


玄関を開いた先に立っていたのは、先程声を出した胡散臭そうな笑みを浮かべた黒髪男と何だかこっちを睨んでくるウルフヘアの赤髪、明るめの茶髪で此方に手を振ってくる飴を舐めている男に、チョコレート色の髪をしてめんどくさそうに端末を弄る可愛い男の子。


…そしてオドオドとカラフル頭をした奴等を見たり、こっちを見たりして不安げな女の子。


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