家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


良くも悪くも、あたしの部屋は一階の入り口の側。


バックから鍵を取り出し鍵穴に差し込んで半回転させた。


「ただいま〜」


あたしは高校に入って1人暮らしを始めてみたけど、1人にはまだ慣れない。


だからこうして、帰ってくる時に“ただいま”と言ってしまう。


肩に寄りかかる男をどうにかしようと、取り敢えずリビングにある椅子に座らせる。


「ちょっと待ってて、今救急箱持ってくるから」


「…ん」


え〜と、救急箱って何処にあるんだっけ?


あたし自身、怪我をあんまりしないから覚えてないや。


…とにかく、ありそうな所片っ端から探ってみるしかないかぁ。


ベットの下、机の引き出し、テーブルの上…などを確認する。


「__あ、あった!」


最終的に見つかった場所はキッチンにある棚の中。


「はい、ちょっとじっとしててね」


男の前に膝立ちをし、額にできた切り傷の周りを清潔になるように拭く。


拭いていて、驚いたことは男の顔が凄く整っていたことだった。


一体何をしたんだ、このイケメンは。


まさか、女絡みで修羅場になって喧嘩になったとか?


…うん、ありえそう。


血色のいい薄ピンクな唇に、男にしては長い睫毛。


二重瞼で、キリッとしたスミレ色の瞳。


白い肌、それにハニーブラウンの髪に、高い鼻。


常人離れしたその容姿に思わずあたしも息を呑んでしまう程。


そこらへんのアイドルよりも、何十倍も綺麗。

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