家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
ある時は皿を投げつけられ
またある時はTVのリモコンを投げられた。
身体的苦痛と、精神的苦痛。
痛い、痛い、痛い。
俺の心の叫びを感じ取ってくれる人はいない。
ただ俺は“お母さん”を置いて何処かに行ってしまった親父を憎んだ。
憎むしかなかった。
そうすることで、寂しさから孤独から逃げて、目を背ける。
いつしか俺はもう“お母さん”と呼ばなくなっていた。
もう、母さんの事を呼ばなかった。
家に居ても誰も話さない。
聞こえてくるのはTVから流れてくる声だけ。
他人よりも他人らしかった。
暫くして、母さんは男を家に入れるようになった。
俺は中2になっていて、その頃は反抗期も重なり家に帰らない時がしばしば。
久し振りに家の玄関を開けて、リビングへと向かうと、リビングから微かに聞こえてくる母さんの荒い息、これまでに聞いた事のない甘い声…。